【ひきこもりの要因・分類】
ひきこもりの要因について
「ひきこもり」のに至る背景は多様であり、原因、支援方針、目標などを一様に考えることはできません。
そのためには「ひきこもり」を理解するうえで、知識として知っておくべきことがあります。
<要因>「ひきこもり」状態に至る経緯・背景は様々です。
例えば、
(1) 生物的要因 精神疾患や発達障害など
(2) 心理的要因 なんらかの出来事がきっかけで自尊心の傷つき、不安、恐怖など
(3) 社会的要因 家族関係、学校や職場の環境、社会状況など
のように、ひきこもるには、なんらかの理由やきっかけがあります。それは、ひとつだけとは限りません。いくつかのことが重なることもあります。
精神疾患や障害を抱えている場合は、医療機関の力も必要になります。
ひきこもりの精神疾患・障害について
「ひきこもり」に関係する精神疾患・障害は下記の3群に分類されています。
第一群は、 「精神疾患群」 です
統合失調症、 気分障害、 不安障害などといった精神 疾患・障害を主診断とするひきこもりです。治療・支援の場として医療機関の受診も視野に入れる必要があります。
また、 精神療法や福祉的な支援も同時に進めていくのが有効です。
ただ、 本人は病院への抵抗感、 そもそも外出への抵抗感がある場合が多く、 なかなか受診 につながらない場合がありますが、そのようなときは、各保健所やひきこもり支援センターでは、当事者・家族からの相談で嘱託医の相談の対応もされているところもあるので、まずは、家族が受診をし、医師の意見等を聞くこともひとつの方法です。
第二群は、 「発達障害群」 です
広汎性発達障がいや精神遅滞などの発達障害を主 診断とするひきこもりです。
第一群と同様に、障害が一次的なもので、その結果として、二次的な状態として、ひきこもりになるケースです。障害の特性に応じた精神療法 やSST (社会技能訓練)、のプログラムに取り組むことが有効です。 二次障害として精 神疾患を併発している場合は、 精神科受診をおすすめします。
第三群は、 「パーソナリティ群」 です
一群にも二群にも分類されない群であり、 その中 にはひっこみ思案な性格傾向のある方も含まれています。 安心・安全な居場所やカウンセリングなどで、対人関係を築くトレーニングが有効です。
【主な精神疾患・障害の特徴】
第一群 「精神疾患群」
<統合失調症>
・幻聴・幻覚・妄想・不安などにより様々な障害が出て、通常の生活が困難になる病気。
・幻覚などの強い症状(陽性症状)と意欲の低下など消極的な症状(陰性症状)がある。
<気分障害>
・気分や感情が病的に変化する障害の総称で、うつ病性障害が一番多い。
・うつ病は、興味や喜びの減退、不眠、疲れやすさ、思考力の減退などの症状が現れる。
<不安障害>
・不安や恐怖によって社会的な生活に支障が出ている状態。
・社交不安障害や全般不安症、パニック症状など、様々な種類がある。
<強迫性障害>
・自分で不合理だとわかっていながら、物事への強い思い込みやこだわりのために、生活に支障が出ている状態。
(山根俊恵=著「親も子も楽になるひきこもり “心の距離”を縮めるコミュニケーションの方法」より抜粋)
第二群 「発達障害群」
<ASD 自閉症スペクトラム障害>
・対人関係が苦手(目を合わせない)、状況に合わせることが苦手で、こだわりが強い。・
・興味・関心が限定される。感覚過敏。暑さや寒さ、触り心地など非常に敏感。
<ADHD 注意欠如・多動性障害>
・集中力が続かず、注意力散漫な様子。落ち着きがなく、行動をコントロールできない様子。物事の優先順位が分からない。衝動的に不適切な発言や行動をする。
<LD 学習障害>
・知的発達には遅れがみられないものの、読み書きや計算など特定の能力が苦手で困難さが生じる。
第三群 「パーソナリティ群」
<回避性パーソナリティ>
・他者との交流を避けようとする、自分は人より劣っているといった自尊感情の低さが特徴的な性格傾向である。周囲からの拒絶や失敗を怖れる。
<依存性パーソナリティ>
・他者への過度の心理的依存が強く、何事も一人ではできないといった特徴のある性格傾向である。他者からの助言や指示を求める。
<境界性パーソナリティ>
・感情的で移り気なタイプであり、対人関係の不安定さ、衝動をうまく制御することができない。
当相談センターでは、お子様や親御さまの心の持ち方へのカウンセリングや、ソーシャルスキルトレーニングも取り行っています。どうぞお気軽にご相談ください。